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TOKYOキキイッパツ
第B章
ごつくて鉄で出来ているし、とても硬い!!
手に取ったその時計の鈍い輝きとずっしりとした重量感は俺に勇気を与えた。
ダーティーハリーと44マグナムの関係ってこんな感じか??
俺は何回か、ミッキーマウスの目覚まし時計を振り回してみた。
心の中でヤツの頭めがけて・・・。
その時、突然、またガラッと扉が開いて奴が出てきた!!
今度こそか?今度こそ来やがるのか??
来て見やがれ!このミッキーマウスが黙っちゃいねぇぜ。
「何度も悪い、ちょっとトイレ・・・・。」
奴は俺の布団の脇を通り抜けトイレに入っていった。
そ、そうか、トイレか・・・・。
・・・・・・いや、奴はあの密室で凶器をしごいて
二ヤついているはずだ!騙されるか!!
あのガタイからして、恐ろしい凶器を持っているに違いない。
さしずめ大き目のコンバットナイフくらいはあるだろう。
そうか、それならこれは俺のミッキーマウスとヤツのコンバットナイフとの勝負な訳だ。
ははははは。分が悪すぎる・・・・。
手に入れたばかりの唯一の武器、ミッキーマウスの目覚まし時計も、急に頼りないものに思えてきた。
ジャーーーーー、ゴボボ・・・。
出てくるな・・・・。ゴクッ。俺は身体を固くして息を潜めた。
しかし、トイレから出てきた奴はあっさり、また寝室に戻っていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
まてよ・・・、でかい体育会系の体に騙されるな、俺よ!!
これは心理戦だ!!
奴は俺に心理戦を挑んできてるのだ!!
ああいうフェイントを何度も仕掛け、俺の精神の消耗をひたすら待っているに違いない。
・・・・落ち着け、落ち着つくんだ。
ここでビビッてばかりいるとヤツの思う壺だぞ!!
そうだ、こういうときこそ攻撃に転じるんだ!!
奴の裏をかくんだ。窮鼠、猫を咬む、だ。
俺は、すっくと布団の上に立ち上がり、ミッキーをもったまま奴の寝室に向かった。
反撃に転じる為に・・・。
あることを問いただすために・・・。
続く
いよいよ、次号、最終章へ突入!!
反撃に出た俺の運命は?ヤツの正体は??
全ての謎が明かされるときがついに来る!
布団を敷き終わった奴は俺のほうを振り返って言った。
「一緒に寝る?」
ついに運命の時は来たか・・・。
確かに俺は、奴には勝てねえだろう。
しかし、男の誇りにかけて最後まで戦うつもりだ。
ただでは殺られねえぞ。
俺は侵入者によって滅ぼされていく先住民族のように、死んでも屈しない決意を固めた。
しかし、奴は全く屈託の無い無邪気な顔で
「冗談だよ!目覚ましかけとくからね」
と、やたらと大きなミッキーマウスの目覚まし時計を持ち出してきた。
ジリリリリとなる、鉄の鐘がついてるヤツだ。
その目覚まし時計を俺に手渡すと奴はさっさと自分の寝室に引っ込んで扉を閉めてしまった。
「フー・・・・」
俺は深々と息を吸った。
まるで何年も刑務所にいた受刑者が懲役を果たして娑婆へ出たときのたばこのように、
その一息は甘美だった。助かった・・・・!!
(しかし「シャレにならん」ってのはああいう冗談だぜ・・・一瞬、死を覚悟したじゃねぇか・・・。)
「さぶ」を見つけたからといっていささか短絡的だったか・・。
そうだよな、あんな親切な兄ちゃんを疑って悪かった。
もし、もし、仮にあっちの人間だとしても、襲ってくるような人じゃないさ・・・。
一気に緊張が解けてしまうと、しばらく忘れていたイアン・ソープが襲ってきた。睡魔だ。
上着をのそのそと脱いで、俺は布団に入った。
一旦、横になってしまうと、布団の感触は予想以上に心地よく、
やはり相当疲れてもいたのだろう、程なく意識のとばりがおちかけた。
・・・・・・・・・・・。うつらうつら・・・・。オヤスミナサィ・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・
・
ガラッ!
まさに、完全に眠りについてしまおうとしたその瞬間!勢いよく奴の寝室の扉が開いた!!!
「く、来るのか??来やがるのか??」
弛緩しかけた俺の心と体に一気に緊張感が甦った!
「まだ、寒いよね。ヒーター入れるよ」
「・・・・・・・、あ、・・・・・ありがとう。き、気を使わなくてもいいよ」
奴は、親切にも俺を気遣って、ヒーターのスイッチを入れに来たのだ。
お、俺に入れるつもりではないらしい。
し、しかし奴の姿を見た瞬間、俺の全身の体毛は、興奮した猫のようにそそけ立った!!
ヲイ!
何だ、その格好は!!
ショッキングピンクのタンクトップに黒のビキニパンツ・・・・!!!
しかも、ガタイがムキムキの筋肉質だけに、全身がパッツンパッツンだ・・・。
なんという衝撃的な光景だ・・・!
想像してみてくれ。
実際に180cm以上の大男、それも相当いい体してる奴が
こんな格好で君の目の前に実際に立ちはだかるところを・・・。それもうす薄暗い密室で・・・
うぃーん・・・。
ヒーターが静かな音を立てて動き始めた。
しかし、ヒーターなど入れなくても俺はすでに汗びっしょりだった。
「ああ、このリモコンで温度調節できるから」
奴は、つぶらな瞳に例の屈託のない笑顔を浮かべている。
そして、ゆうゆうとまた寝室に帰っていった。
やはり、駄目だ!
安心など全く出来ない。
奴の親切には裏があるはずだ。
そうだ、「北風と太陽」作戦に違いない!!
まず、俺に優しくして油断させ、さらにヒーターで温度を上げて俺の服を脱がせようとしているのだ!!
無理に力を使って必死の抵抗をされるよりも利口だからな。
君ならどっちで服を脱ぐ?名作「北風と太陽」より
俺は辺りを見回した。
こういう時はこそ火曜サスペンス劇場だ!
火曜サスペンス劇場では女が男に襲われるとき
たいがい、手元にある花瓶や大きなガラスの灰皿で男の頭をカチ割るのだ。
そうそう、こんなヤツ、こんなヤツ。→
しかし、目に留まったのは頼りないアルミ製の小さな灰皿だった。
こんなヤツね。→
駄目だ・・・・。こんなもので奴の頭を殴っても,
大阪名物ポコポコヘッドにしかならない・・・。
余談だが、俺はけっこう、島木譲二とよく会う。
「頑張ってください!」と声をかけると、
「ゴメリンコ!」と気さくに返事してくれるナイスガイだ!
・・・・・そうだ!!
ミッキーマウスの目覚ましだ!!
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