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イースター祭の悲劇
第A章
俺達、クソガキ4人は、部屋に帰ると、
さっそく明日の宝探しゲームについて計画を練り始めた。
俺達に割り振られた部屋は2部屋だったが、
親達が隣の部屋で寝ることになったので、
他とは違って、子供だけの部屋になったのだ。
これも、俺達にとって非常に好都合だった。
余談だが、
ガキの頃は二段ベッドという物に非常に憧れる
奴が多くて、
ロッジの備え付けの二段ベッドの上の方に誰が寝るかでひと悶着した。
その悶着が終わった頃、自分の言い分を全て通した俺が
完全にリーダー格になっていた。
「明日の宝探しゲームだけどな」
「おう」
ガキ共の目は真剣そのものでぎらぎら異様に光り輝いていた。
「ゲーム開始は、8時だ。しかし俺達の戦いは、5時からだ。」
「おう!!」
「一つも、他のやつらには渡さないぞ!」
「そうだ。100個、全部集めてやる!!」
「そうすると、一人、分けまえは25個か」
「聞いてくれ、俺に考えがある」
ハナタレが計画を提案した。いかにも馬鹿っぽいツラをしてるのだが
こいつは悪知恵にかけてはずいぶん頭が切れるらしい。
「4人いるんだから手分けするんだ。ちょうどキャンプ場の施設は4つだ。
ロッジの正面の広場と、体育館、その裏手の森、ロッジの右手のアスレチック公園。
「広場は俺がやる。裏手の森はチビ、アスレチックのある公園は、ハゲだ。
体育館はあんたに頼む。範囲は狭いが隠す場所はたくさんあるからな。」
「なるほど、それがいい」
誰も異論は挟まない。
「始めの2時間はその方法でやろう。そして本当のゲーム開始の一時間前、
つまり、7時になったら、遅れている地区をみんなで応援するんだ」
なんという、ハナタレの智謀!学校の成績が悪くて、
いつも先生に怒られてるとは思えない。
8歳のガキにしては、凄い頭の切れだ。
しかし、ガキを主役にした映画で、よくある役どころ、「ハカセくん」は
たいてい、坊ちゃんがリで少しやせてて、眼鏡をかけているものだ。
「ハカセくん」のイメージとは程遠い、ハナタレ・・・。
ヒトを見かけで判断してはいけない・・・。
このとき、俺は学んだ。
さて、計画は完璧に整った。他の奴らには一つもわたさねぇ。
もはや、これは戦争だった。
俺達の目的は「宝探しゲーム」を楽しむことではなく
100個のタマゴを完全に独占することだった。
これは俺達の自由を奪った大人たちへの復讐だ!
「ようし、じゃあ、今日は早く寝るんだ」
俺はみんなにいって、明日への闘志を胸に秘め、
窓側の二段ベッドの上段へ上がり、毛布にもぐり込んだ。
待ちに待った朝が来た。4時55分。親達も熟睡している。無理も無い。
昨日一日、ガキ共の世話を焼いて、今日もたっぷり遊んでやら無くてはならないのだ。
俺達は誰にも気付かれないように、息を殺して外に出た。
春といっても、自然の中の朝は冷える。あたりはまだ薄暗く、
薄っすらと霧がかかっている状態だった。
「みんな、揃ったか?」
4人しかいない。揃ってるのは分かってるが
気分はもう鬼軍曹。
「チビ!」
「おう!!」
「ハナタレ!」
「おう!!!」
「ハゲ!」
「おおう!!!!」
みんな、一騎当千のツワモノのツラだった。
やってやる!やってやる!
こういうときのガキをなめてはいけない。
奴らはビックリマンチョコだろうが、ポケモンカードだろうが、
その気になれば信じられない執着心で集め、コレクターズブックにコンプリートする。
目的を持った奴は強いのだ!
「作戦開始ぃぃ!!」
俺は腹から声を絞り出し、号令をかけた。
ついに始まったのだ。「宝探しゲーム」という、俺達にとっての戦争が!!
最初の30分で、チビが目覚しい活躍をした。
なんと、裏手の森から
28個
というタマゴを見つけ出したのだ。
なんという、才能!!俺の手元にはまだ、
8個
しかなかった。
奴はたとえ、ルール通り朝8時から他のガキ共40人と
普通に争ってもかなりの成果を上げたろう。
「森の方はもう無いと思う。あっても後ちょっとしかないだろう。手伝うよ」
予定を少し変更し、俺とチビは体育館を二人で手分けした。
そのカイあって体育館地区も、タマゴを発見するペースが急激にあがった。
瞬く間に、新たに
7個
のタマゴが見つかり、合計で
15個
をせしめることが出来た。
一時間を過ぎた頃、
広場では隠す場所がほとんど無い為か、
8個
を集めたところで新しい収穫がなくなった。
とハナタレが報告にやってきた。
「広場の探索を切り上げてはどうか?」とハナタレは言う。
なるほど、確かに広場には何も施設がなく、丈の短い芝生しか生えていない。
これ以上の成果は期待できないだろう。
「よし、それなら、アスレチック公園のハゲを応援しに行ってくれ。」
俺はハナタレにに言った。
「わかった。」
フットワークも軽く、ハナタレはアスレチック公園を担当している
ハゲのもとへ応援に向かった。
現在、
50個
。いいペースだ。
しかし、そこから苦戦が始まった。
アスレチック公園に収穫がないのだ。
もともとハゲは探し物に向いてない性格らしかったが、ハナタレが応援に駆けつけ、
二人がかりで探してもさっぱり効果があがらないのだ。
体育館で、チビと俺は更に
12個
の獲物を得た。
「おい、アスレチック公園の様子を見に行こう」
俺はチビに声をかけ、ハナタレとハゲの様子を見に行くことにした。
この時点で6時半。合計
62個
。
アスレチック公園方面では、まだ
4個
しか見つかっていなかった。足して
66個
。
「アスレチック公園にはもともと、ちょっとしか隠しないのと違うか?」
ハゲは思うように活躍できない自分にいらだっていた。
「いや、アスレチック公園にはもっとあるはずだ。」
「なんでそう思う?チビ」
「昨日、寝る前に聞いた話だけど、アスレチック公園を担当したのは
俺らのロッジ、つまり、俺らのオヤジとオフクロだ。
みんなで8人だ。8人で隠すにしては、4個は余りにも少ない」
「なるほど、言われてみればその通りだ。」
さすが、宝探しのプロ、チビ。完璧な推理だ。
「よっしゃ、これから、30分は、全員でこの公園を徹底的に探すんだ。」
俺は、チビの推理にかけた。
不安に陥りかけてた4人は、新たに気合を入れなおした。
地道な作業の結果、少しづつだが、確実に成果が上がり始めた。
一個、また一個とタマゴが積み上げられていく。
「おい、ハゲ、見つかったタマゴを入れるからロッジからごみ袋もってこい!」
ハナタレがハゲに言う。
「うん・・・」
ハゲは他のやつに比べて活躍が少ないので、どんどん、なめられ始めていた。
少しかわいそうだが、今は時間が無い。もはや局面は時間との戦いだった。
新たに、
12個
のタマゴが見つかった。
78個
。
しかし、なんで、ここだけこんなにも見つかりにくいんだ!?
非常に隠す場所の難易度が高い。
隠した奴のひねくれた粘着質な顔が見たいぜ。
さすがは問題児の親達だ。
やることが陰湿で念入りだ。そういう性格も
子供の人格形成に少なからず影響を与えているだろう。
探索を続けていたが、とうとう7時になってしまった。
「おい、いったん集まれ」
俺は焦っていた。あと、一時間で
22個
。
しかし、予定と違い、もうあらかた探し終わってしまった。
これでは最初の作戦通り、みんなで重点的に探す場所が、もうない。
どうする?なにか手は無いのか?
「おい、ハナタレ、何か考えは無いのか?」
「・・・・・。始めに4つに地区を分けたけど、他にタマゴが隠せそうな所はあったけ?」
「・・・・・・・。」
無い。どう考えても、キャンプ場周辺施設はこれだけのはずだ。
俺達は、とうとう行き詰ってしまった。あと、
22個
。あと、
22個
は何処にあるのだ?
俺達の手に届かない、雲の上にでもあるというのか?
そのときだった!
「ロッジだ・・・!」
それまで、肩身狭そうに黙っていたハゲが言った。
「!!!」
「それだ!ハゲ!!」
なんと、ハゲが見事に逆転の発想をしてのけた。
灯台下暗し。
俺達が泊まっていた、そして現在、みんなが寝ているロッジしかない。
しかし、7時だ。みんなぼちぼち起き始めてる頃のはずだ。
気付かれないように探索するのは至難の業だ。
しかし、やらねばならない。
俺達は脱兎のごとくロッジに駆け戻り、寝ぼけ眼の人たちが、
ごそごそ朝の支度を始めているその目の前で宝を探し始めた。
さりげなく、気づかれないようにしながら。
下駄箱、
2個
!!ロッジの納屋、
3個
!バルコニー、
2個
!
早くも
7個
の収獲があった。
やはりだ…。宿泊施設のロッジにもタマゴが隠されていたのだ。
親達が、見咎めた。
「あんたら何処行ってたの?何してるの?」
俺達に相手にする時間は無かった。あと
15個
だ。
時間は7時20分。
俺達は食堂を探し始めていた。食卓には既に朝食の準備が整えられつつある。
そうか、朝食の時間が迫っている。
もう少ししたら、食堂に集合しなければならない。
そして全員で朝食をとり、8時から本来の宝探しゲームが始まるのだ。
そうなれば万事休すだ・・・。
ご飯、しゃけの切り身、味噌汁、タマゴ、のりといった皿が並んでいる。
さすがに腹が減ったな・・・。
俺は、食堂の机の下や戸棚を調べながら考えていた。
集中力が切れ始めていた・・・・。
しかし、あと15個だ。たった15個なんだ。
駄目か。駄目なのかっ?
俺達の力はこんのもなのか?
そのとき、ハゲが絶叫した!!
「あれ、あれは
なんだーっつ??」
続く
特報
次回、最終回、
信じられない展開がっ!!
絶望的な捜索活動の果てに
ハゲが目にしたものとは?
ついに動き出した、
総勢40人以上の他のガキ共!!
しのぎを削る宝探しゲーム!!
100個のタマゴの行方は!!
最後の大勝負、決断の時が迫る!
おい、走る方向がみんなと逆だぞ!
いいのか?チビ!?
そして感動のクライマックスへ!!
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