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リンダリンダ
男なら、今までに、こんなことを言う友達が一人や、二人はいたでしょう。
「ブスに人権なんてねぇーよ」
こういうひどいことを言う奴が・・・。
女子だって言いますよね。
今でも忘れられない事件です。
俺が高校2年生の時の、ある晴れた日のことでした。
5〜6人で放課後にカラオケに行ったんですね。
ええ、男ばかりです。
全員、彼女居ませんでした。モテないグループだったんです。
まぁ、でも、それも楽しです。繁華街をダベりながら楽しくカラオケに向かって歩いてました。
そのとき、女子高生のこれまた5〜6人のグループとすれ違いました。
すれ違いざまです。
女子高生からある言葉が俺達に飛んできたのです。
「キモッ!」
キモ KIMOUSA / DC7 / 総合格闘技
◇出身地 |
: USA |
◇生年月日 |
: 1969年01月04日 |
◇身長・体重 |
: 188cm / 112.0kg |
◇主なタイトル歴
◆U.F.C.F.認定パンクレイションヘビー級チャンピオン
◇対戦成績
14戦/9勝/4敗/1分/2KO
◇戦績
1994/12/10 |
○ パトリック・スミス |
1R KO |
1995/03/03 |
● 佐竹雅昭 |
2R KO |
2003/08/15 |
● ボブ・サップ |
2R KO |
違います。
総合系ファイターではありません。
肝
でも、ありません。
すれ違いざまに、俺達に向かって、女子高生の集団から浴びせられた言葉は・・・
「気持ち悪い」
ということだったのです。
(キモい←大阪弁ではないですよね?全国共通?
念のために言っておくと「キモい」は「気持ち悪い」の短縮形)
俺達は確かにモテませんでした。
でも、ちょっと見で、そこまでのことを言われるのは、
純ちゃんしかいませんでした。
眉毛は太く、鼻は低く、耳が異様に大きく、
唇は分厚く、すごい天パーで、色がとても黒い
という
絶対に女にモテない顔でした。
俺も別に自分のことをイケメンだとは思いませんが、
このときは、グループの誰もが女子高生が投げかけた言葉の矛先が向かっているのは
純ちゃんだということを
ゼロコンマ数秒で確信しました。
それが・・・。そんな彼が
こんなよく晴れたご機嫌な日に
一生のトラウマ
になりかねない目に会わなければならないとは・・・。
彼に何の罪があるのでしょうか?
俺達は激しくムカついて女子高生の方を睨みました。
しかし、彼女達の方を見た俺達は
金縛りにあってしまい、
結局、誰もなんのアクションも取りませんでした。
か、可愛いんです。
みんな、可愛いんです!
普通、5〜6人の女の子が居ても
可愛いのは一人か、二人と相場は決まってます。
それなのに・・・。
みんな、そろいもそろって
超可愛いんです!
こういうことだったのではなかったのかと思います。
おお!なんてこったい!
みんな、めちゃくちゃ可愛いじゃネェか!!
是非、合コンを申し込みたい
実は、純ちゃんは自分が不細工だと言うことは
十分に自覚しており
普段から
「俺は女と縁がない」などと
淋しそうに笑っている男でした。
彼は、彼女を作ることなど、
とうの昔に夢の話だと悟ったみたいで、
学校でも女の子とは距離を置いてました。
でも、彼はすごく優しい奴で、色んなことに気がつき、
世話焼きで、しかも、話も上手く、趣味も豊富で
男には人気があったのです。
父親と母親が早いうちに離婚して、生活が苦しく
バイトをして大学への費用にすると頑張っていた、そういう奴なのです。
俺達はそのあと、純ちゃんに、どういう言葉をかけていいか分からずに
しばらく気まず〜い空気が流れていました。
「なぁ、こんなところでモタついててもしゃーないんやん、はやくカラオケ行こうぜ」
仲間の一人が言いました。
俺達はさっきまでの楽しい雰囲気は何処へやら・・・。
かといってこのままオメオメと帰ったら泣いてしまいそうです。
純ちゃんも心配です。
重い、重い足取りで、いつも行くカラオケに向かいました。
純ちゃんは黙り込んでいます。
俺達は誰一人彼に話しかけられませんでした。適当な言葉が見つからなかったのです。
カラオケに着きました。
これから楽しく騒ごうってのに、
みんなしょんぼりしてます。
そのときです。
なんと一番初めに、純ちゃんが
曲を予約しました。
そうです。純ちゃんは
歌がめっちゃ、上手いのです。
「純ちゃん、ヤル気まんまんやな!聴かせてくれや!」
「おお!純ちゃんのミスチル、マジでやばいからな!」
そうなんです。
純ちゃんにミスチルを歌わせたら半端じゃないんです。
みんなは純ちゃんが思いの外、大丈夫みたいなので
ホッとすると同時に、これでやっと楽しく遊べると思い、なんだか元気を取り戻し始めました。
曲が始まりました。
ところが意外なことにその曲はミスチルではありませんでした。
純ちゃんはミスチルが好きで
いつもならほとんどミスチルしか歌いません。
?
誰もが意外さで顔を見合わせている中で
純ちゃんはマイクを握り締め歌いだしました。
♪ドブネズミみたいに〜
!
♪美しくなり〜たい〜
こ、この曲は・・・!
♪写真には写らない〜
♪美しさがあるから〜
ザ・ブルーハーツの名曲
♪リンダリンダー
リンダリンダリンダー
後はもう大荒れでした。
みんな泣きながら純ちゃんと一緒に歌いました。
そうなんだ!!
俺達には写真に写らない
美しさがあるんだ!
一所懸命、生きてやる!
いつかはそんなおいらに
惚れてくれる女の子もいるさ!!
そんな熱い純ちゃんの思いにシンクロした俺達は、
午後4時くらいから、次の朝の4時まで
12時間
狂ったように、歌い続け、踊り続けました。
「いやぁ、やっぱ、純ちゃん、すげーわ!」
「マジ!マジ!パワーと根性が違うわ!」
「けどさー」
そのとき、仲間の一人が言いました。
「純ちゃん、あんなブス共にいわれたことなんか、
気にすることないって」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・どこにでも、お人よしで
それでいて無神経なバカはいるものです。
そいつは純ちゃんを励ます言葉をそいつなりに昨日から考えていたんでしょう。
このさわやかな早朝の和んだ雰囲気の中で
やっと純ちゃんに声をかけることが出来たのかもしれません。
しかし、それは、まさに
彼女達が純ちゃんに投げかけた言葉と同じ
である上に、
どう考えても
負け惜しみ
にしか聞こえませんでした。
繊細で優しい純ちゃんはそいつに怒ることも出来ずに悲しそうに笑っていました。
今では純ちゃんにも待望の彼女が出来ました。
純ちゃんは変わりました。
太い眉毛はそり落とし、
低い鼻には鼻ピー、
大きな耳にもピアス(5コ)、
分厚い唇にもクチピー、
すごい天パーは金髪モヒカン、
黒い肌のあちこちにタトゥー
という「超キワモノパンク・ロッカー」になりました。
もう、美しいとか、美しくないとか
そういう次元ではない人に成長しました。
彼とは今では、ほとんど付き合いはありません。
まだそれでも彼のライブなどに呼ばれてた頃、一度だけ彼女さんに会わしてもらいました。
純ちゃんの彼女も、
美しいとか、美しくないとか
そういう次元を超越した女の子でした。
お目々は意外とパッチリしてたような気がするんですが、
何か純ちゃんよりもすごいカッコで・・・
え〜と、ものすごく濃い化粧の仕方とか、
静電気の実験を思い出すようなヘアスタイル、
しかも色とりどり・・・とか
人を威嚇するようなファッションセンスも含めてだけど、
俺には、そのなんというか、カメレオンみたいと言うか
人間とは別の何かの生き物のように思えました。
正直な感想です。
>
純ちゃんが
傷つけられたこと
女子高生達がとても
可愛いと言う事実
チッ、チッ、チッ、チッ
朝の4時半だと言うのに誰も疲れていませんでした。
「今日も、学校あることやし、お開きにしよーぜ」
「おお!そやな!」
みんなの表情はさっぱりしてましたし、いつもより活き活きとしてました。
悩みも、憂鬱も、12時間のライブで全部吹っ飛んだのかも知れません。
外に出るとそろそろ夜が明け始めていました。
12時間
こういう思い出があるんですね。
みだりに人を傷つけることを言ってはいけませんね。
たとえ、それが正直な感想であっても。
の純ちゃんの熱唱は、この一言で吹き飛びました。
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